リレーブログ ~私の街の葛城修験のご紹介(第4番経塚)~
皆さんこんにちは!いつも本ブログをご覧いただきありがとうございます。
さて、本日は「リレーブログ~私の街の葛城修験のご紹介~」の第2弾、大阪府阪南市にある【第4番経塚「さくら地蔵」】についてご紹介です!
【第4番経塚「さくら地蔵」】について
葛城修験のルート上に、役行者(えんのぎょうじゃ)が各地に法華経の28の経典を埋納しました。その法華経の経典のうち、第4章となる信解品(しんげほん)が埋納された場所を示す場所、それが第4番経塚です。
大阪府阪南市・山中渓にあるこの経塚は、大阪府道64号和歌山貝塚線から脇道に逸れて入り、道沿いの階段を少し上ったところにあります。
周囲は木々に囲まれた野山の中にあるため、落ち着いた雰囲気の中に佇んでいます。
阪南市の水彩画家の方に描いていただきました。写真よりも雰囲気が伝わります
〇なぜ「さくら地蔵」と呼ばれている?
葛城修験のことが記された江戸時代後期の書物である『葛嶺雑記(かつれいざっき)』に「老木の桜があるが故に、さくらぢざうといふ」と書かれています。同書の後半には、さくら地蔵を50mほど行ったところに「梵字石」があり、そこが第4経塚であると紹介されています。つまり、第4経塚を示すこの石造物は、老木の桜や、かつて近くに祀られていたであろう地蔵が目印になっていたことで、経塚そのものも「さくら地蔵」という愛称で呼ばれたのでしょう。
今は『葛嶺雑記』で描かれた情景を見ることはできませんが、実はこの「さくら地蔵」の近くに桜の木が植わっています。後ほどご紹介するとおり、山中渓は「千本桜」と呼ばれるほど桜の名所でもあるので、ぜひ春にお越しください。
〇経塚が移動?忘れ去られる危機も?
現在は、和歌山県岩出市・境谷地区との県境にありますが、長い歴史の中でここにずっとあったわけではなく、むしろ最近、阪和自動車道の開通に伴ってこの場所に移設されたのです。それ以前にも、何度か移設されたと考えられており、明治時代の廃仏毀釈や修験道の衰退により一時は忘れ去られていたようです。昨今は文化財を活用する流れが大きくなってきていますが、やはり守ることも大事だと痛感します。
〇第4経塚が2つ?
もう一つ、第4番経塚ではないか?と言われる石碑が、同じく山中渓地区にあります。
先ほどの『葛嶺雑記』には、前述の経塚が第4番と記載されていますが、JR阪和線山中渓駅より南へ約150m地点に山中関所跡址の石碑と並んで建つこちらの経塚を候補とする説もあります。
左は山中関所址碑、右側がもう一つの第4番経塚の候補である奉納大乗妙典碑
色々な見解はあるものの、こちらは刻まれている文字をよく見ると、同じく法華経が納められたことを示す経塚であるものの、その目的は「六十六部回国納経」に関するものであることがわかります。ただ、この石碑にも、「さくら地蔵」にも、修験者が訪問した証である木の札(碑伝)が置かれています。
〇どんな石で、できている?
「さくら地蔵」は和泉砂岩でできています。日本地質学会が「大阪府の石」に選定した和泉石は、ここ阪南市でも採れ、つい最近まで採石が行われていました。江戸時代には全国各地にその腕を認められて赴くほど技術の高い職人(石工)がいました。
軟質のため細密な加工がしやすく、加工直後の見栄えも良いことで高い評価を受けていましたが、裏を返せば劣化しやすい石でもあります。
〇地域の方々のお声
「さくら地蔵」を訪れると、地域の方にお声がけいただくことがあります。お話を伺うと、「さくら地蔵」の清掃活動や、お参りをされているようです。中には、「困った時にお祈りをしたら助けてもらったので、それ以来お礼参りを行っている」といったエピソードも。普段から地域の方々に大切にされている「さくら地蔵」は、地域のいわゆる「パワースポット」なのかもしれません。
〇日本遺産葛城修験―里人とともに守り伝える修験道はじまりの地
地域の方々に見守られることは、まさに日本遺産葛城修験のタイトルにもある「里人とともに守り伝える」ということです。長い歴史の中で一度は忘れられた「さくら地蔵」が再発見され、また、日本遺産認定を経て広く知れ渡ることで、葛城修験の歴史はこれからも続きます。
「さくら地蔵」だけでなく、葛城修験の楽しみ方の一つとして、葛城修験をとりまく里人の暮らしにも想いを馳せてみるのも良いかもしれません。
【アクセスについて】
住所:〒599-0214 大阪府阪南市山中渓
車:最寄りの駐車場はJR山中渓駅周辺の民間パーキングや、わんぱく王国駐車場があり、そこから南へ1.6km、徒歩で約20分ですが、道路の交通量は多く、幅も狭いため、注意しながらお越しください。
○わんぱく王国駐車場について
・場所:〒599-0214 大阪府阪南市山中渓245付近
・時間:午前9時30分~午後4時30分(5月1日~9月30日は午後5時まで)
・料金:普通車500円/台
○駐車場までの最寄りの高速道路出口からの所要時間
・和歌山方面から............阪和自動車道「阪南」出口より約5分
・大阪方面(山側)から...阪和自動車道「泉南」出口より約10分
・大阪方面(海側)から...阪神高速4号湾岸線「泉佐野南」出口より約30分
電車:JR山中渓駅から南へ1.6km、徒歩で約20分ですが、道路の交通量は多く、幅も狭いため、注意しながらお越しください。春には電車が桜のトンネルを通ります。ぜひ車窓からの風景もあわせてお楽しみください。また、タイミングが良ければパンダくろしお号を見ることができます(山中渓駅には停車しませんのでご注意ください)。
○主要駅から山中渓駅までの所要時間
・和歌山方面から...「和歌山」から区間快速もしくは紀州路快速で約15分
・大阪方面から......「天王寺」から紀州路快速で約1時間
【おすすめ観光情報】
①歴史街道
JR山中渓駅から徒歩20秒のところに、歴史街道があります。
ここは平安時代以降に盛んになった「熊野詣」の道である「熊野街道」であり、江戸時代に発展した「紀州街道」でもあります。現在も民家が立ち並ぶ様子は、参勤交代の際に通行された宿場町の名残を感じとることができます。現在は石畳や灯篭が整備され、風情を感じながら歩いていただけることでしょう。
その道中、古民家がリノベーションされた複合施設「山中渓サイドテラス」があります。中でも次の2店舗がおすすめスポットです。
②たまご屋tamaco
新鮮なたまごを使った、たまご料理の専門店。定番メニューはたまごかけご飯ですが、「たまごナーラ」や「とりそぼろ親子丼」といった季節メニューも。ホットサンド・ワッフル・たません等、たまごを使ったバラエティ豊かな料理が勢ぞろい。
住所:〒599-0214 大阪府阪南市山中渓246
営業時間:(金曜日)11:00~15:00 (土日祝)11:00~17:00
定休日:月曜日~木曜日
※最新情報はInstagramアカウントで確認してください。
③Cafe NACLEY(カフェナクレ)
シェイクとホットドッグが主力のこちらのお店では、阪南市のパン屋さん「ベーカーズウーベ」にて、自家製の天然酵母で焼き上げられたパンを使用。ドリンクや食べ物だけでなく、店内の装飾もお洒落で、五感で楽しめる空間です。
住所:〒599-0214 大阪府阪南市山中渓246
営業時間:11:00~15:00(天候次第で~17:00)
定休日:火曜日・水曜日
※最新情報はInstagramアカウントで確認してください。
小腹を満たしたところで、お店から北へ進むと右手に小道があり、入っていくと「地福寺」があります。春に1本のしだれ桜が咲き誇る様子は圧巻です。
④わんぱく王国
阪南市周辺の子どもたちが一度は遠足で訪れるわんぱく王国。こちらは何といっても全長200mもあるローラー滑り台が大人気!最後は古生代に生きた「ディメトロドン」に食べられる、子どもたちにはたまらないすべり台です。大人の方はヒップスライダーをご持参いただくことをお勧めします。
開園時間 午前9時30分~午後4時30分(5月1日~9月30日は午後5時まで)
休園日 毎月 第3水曜日(12月29日~1月3日は年末年始のため休園)
住所 〒599-0214 大阪府阪南市山中渓119-8
駐車場 140台収容
駐車料金 普通車: 500円、大型車:1,500円
問合せ わんぱく王国管理棟事務所 電話:072-472-1890
⑤春の自然(桜・ホタル・あじさい)
山中渓にお越し頂くには、春が断然おすすめ。JR山中渓駅からすぐの桜並木は、地域の方々が大切に育む絶景です。
5月の中~下旬には山中川沿いにホタルが飛び始めます。
ホタルが終わりを迎えるころ、紫陽花が咲き始めます。
⑥ツバメ製作所
最後はステンドグラス製作体験ができる「ツバメ製作所」。店内にはふるさと納税でも人気の作品が販売されており、雑貨好きにはたまらないお店です。体験は事前に予約が必要です。
住所:〒599-0214 大阪府阪南市山中渓131−8 3F
営業時間・定休日:不定期のため最新情報はInstagramでご確認ください。