自治体ブログ

「山伏と歩く 日本遺産葛城修験」モニターツアー開催レポート

2023年3月 9日

皆様こんにちは!いつも本ブログをご覧いただきありがとうございます。

さて、本日は昨年末に「山伏と歩く 日本遺産葛城修験」と題して実施した、葛城修験のモニターツアーの様子をレポートします!(大変遅くなりました・・・)

本ツアーは一般の方を対象に、現役の山伏の方と葛城修験の道を歩き、普段の山登りとは違う体験をしていただくとともに、葛城修験の歴史・文化を知ってもらうことを目的として、弊協議会が主催して実施したツアーになります。

今回のツアーでは、葛城修験のマップ&ガイドに掲載しているコース19に従って各行場を巡拝しました。

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本コースは歩行距離も10km程度で、公共交通でのアクセスもしやすく、初心者の方にも非常にお勧めのコースです! 

12月10日、よく晴れた暖かな冬の日に、ツアーは近鉄関屋駅からスタートです。

1.スタート.JPG

先頭を歩くのは本日ご先達いただく亀乃瀬弁才天国分寺(大阪府柏原市)の久米住職。法螺貝を吹きながらツアーは始まりました。

歩いて10分ほどでまずは本日第一の行場である「観音寺」に到着。ここは楠木正成の命を守ったと伝えられる「矢除身替観音」で有名なお寺で、役行者様も境内には祀られています。

2.観音寺.JPG

観音寺の役行者像の前で勤行について説明。勤行自体初めての体験の方も多く皆様熱心に耳を傾けられていました。

3.勤行.JPG

全員で勤行。身が引き締まります。


観音寺参拝後、民家を抜けていよいよ第28番経塚の眠る明神山方面へ。本格的な山行に入ります。

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「山伏が身に着けている装束には全て意味と実践的な役割があるんですよ」と久米住職。山に入る前に装束についての説明をいただけ、普段聞けない話にみなさま興味津々でした!

5.山へ.JPG

そしていよいよ山へ。久米住職先達のもと、歩みを進めます

6.関屋地蔵.JPG

日本遺産葛城修験の構成文化財にもなっている関屋地蔵での勤行


山に入って1時間ほど過ぎ、いよいよ明神山山頂も近づいてきた頃、印象的な出来事がありました。

「ここからが明神山山頂に向けての一番しんどい登り坂になります。ここを乗り切るためにみんなで"かけ念仏"を唱えましょう」と久米住職。

かけ念仏とは「慚愧懺悔(ざんぎざんげ)六根清浄(ろっこんしょうじょう) 」と、先達が先導のもと歌うように念仏を唱えること。慚愧懺悔とは日頃の行いを反省し悔い改めること、六根清浄とは、感覚や意識を生ずる六つの根元(目・耳・鼻・舌・身・心=六根)を清めること。

かけ念仏を行うことで、日頃の行いを反省し悔い改めて、心と体を清める意味があるそうですが、実践的な効用として、みんなで大きな声をあげて歩くことで、不思議と呼吸が整い、また声を出すことに集中するので歩く辛さを忘れることができる点。久米住職の声は山中によく響き、それに呼応する形で参加者全員で念仏を唱える体験は山と一体になるような感覚にもなりとても神聖な体験でした。

7.念仏.JPG

かけ念仏を唱えながら山中を進みます

そして、かけ念仏の最後の一節を唱え終わった頃、明神山山頂に到着です。まずは山頂にある28番経塚の一つと言われている水神社でお参り。その後はお楽しみのお弁当&絶景タイムです。明神山山頂は非常によく整備されており、展望台だけでなく、トイレやベンチなどもしっかりあるのでとてもお勧めです!

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28番経塚での勤行

9.景色.JPG

山頂からの景色。二上山や金剛山など葛城修験とゆかりの深い山々を眺望できます


昼食後は、柏原市亀の瀬にあるもう一つの28番経塚「亀石」に向かって下山していきます。

明神山を去るにあたり、久米住職がからこんなお話が。

「皆さん、今日の明神山への登山はどうでしたか?見える景色、感じる空気、ご自身の気持ち、全て今までの登山とは違っていたのではないでしょうか。山自体はその姿を変えないのに不思議ですよね。皆様の心構え一つで山との向き合い方は変わります。そういったことを感じ取っていただくことも皆様が今回のツアーに参加した大きな意味ではないかと思います。」

11.久米さん.JPG

高野山での山行の実体験をもとに穏やかに語られます

同じ山でも自分の心のありよう一つで見える景色や感じ方が変わる。もちろん、何も考えずレジャーとして登山を楽しむのも一つの山との向き合い方だが、気持ちを整え心静かに山を歩くと、驚くほど今まで見えてこなかったものが見えてくる。そういったことに気付けたことは、このツアーでの非常に大きな学びとなりました。

そしてツアーはいよいよ本日最終の目的地、大和川の「亀の瀬」にある亀石・28番経塚に到着です。ここで最後の勤行を行い、本日のツアーは終了となりました。

12.亀石..JPG

 28番経塚。葛城修験は、和歌山市の西端にある無人島友ヶ島から始まり、ここ大和川の亀石で終わる。「水から始まり水で終わる」非常に珍しい修験道です。

皆様も普段とは違った心持ちで葛城修験を訪問してみてはいかがでしょうか?皆様の来訪を心よりお待ちしています!